自律神経,脳

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自律神経の話

投稿日:2009年10月15日 更新日:

とある患者さんに、自律神経って何ですか?と聞かれたので、簡単なようで難しいのでまとめて説明していきます。

神経にも色々有ります。

筋を動かす為の運動神経。

痛みや温度、圧力などを感知する感覚神経。

そして、今回、説明させて頂く自律神経。

自律神経とは何か

良く解りやすく伝える為に植物神経などと、たとえられます。
まず基本的に自分の意識でコントロールしている物ではありません。

例えば、起床時と睡眠時と心拍数や血圧も異なります。
走ると更に酸素を供給する為に心拍は増大します。
この様に、よし血圧を下げようとか心拍を上げようとか、自分の意思とは無関係にスイッチが入ったり切れたりしています。

そして、この神経を大まかに二分する事が出来ます。

交感神経(起床時、行動時、戦闘時)
筋や脳を中心に稼動させる為、内臓はお休み中。

副交感神経(睡眠時、リラックス時、修復時)
内臓、ホルモンなどを分泌、組織回復や自己治癒している為、筋や脳はお休み中。

の二つです。

凄く複雑な物を解りやすいように簡単に書いていきます。
知っている人は突っ込まないで、後半から読んでください。

初めはこの2つの神経が有るという事、ここを理解してください。
(一応表を出しておきます。)

自律神経の働き

自律神経を知ると…

上記の説明で自律神経の2つ。
交感神経と副交感神経を何となく理解していただけましたでしょうか?

良く競技系の患者さんに、「休む時は休む」と言うのはこの事からです。
ハードな運動や仕事をしたまま治したいと思う気持ちも解りますが、自分で治す覚悟や期間を決める方が長引かなくなる秘訣です。

修復するのには、副交感神経を最大限に引き出すほうがより良く早く治す方法になるのです。

それでも眠らずに、歩き続け、パソコンをし続ける。
この様に交感神経を優位にしていても、人の体はある程度、修復しようと努力を勝手にしてくれます。
ある程度融通が効く様にもなっています。
ある意味鍛える事が出来ます。

しかし限度もあります。
風邪を引こうが、インフエンザにかかろうが、骨折をしようが治癒するだけの能力が備わっていますが、症状があっても、薬を使い、症状をだけを消し仕事を続けるのが日本人です。
結果、現在、自律神経失調症、アレルギーが激増しています。
自己治癒力を使わない事が原因の一つと言われています。

仕事をしながらでは、治癒期間が延び延びになります。
寝ていれば1日で治る風邪も、仕事の為と1週間不調を続ける人もいます。

安静にする=副交感神経を優位にする=治りやすいという事になります。
そうする事で、より早く治す事が出来ます。

昔、風邪を引いたらテレビを見せない様にしていた、お家もあると思います。
それは、科学的に言っても脳が働いている状態よりも、寝ているほうが治るからです。

鍼灸治療中は眠くなります。
これも副交感神経を優位にさせる為です。

寝る事は体調管理の基本です。
良い選手ほど沢山寝ます。
翌日に回復します。
ここで、翌日まで疲労感のある人無い人の違いが出ます。

副交感神経を軽視するとこんな症状が出やすくなります。
膝痛、リウマチ、ガン、自律神経失調症、うつ、などなど、要は睡眠を削って頑張り過ぎる傾向のある人です。
 

自律神経と筋肉の関連性

続いては自律神経と筋肉との関連性です。

皆さんは、筋肉の過緊張状態と言う言葉聞いた事は有るでしょうか?
肩コリ、腰痛などなど色々な場面で過緊張が原因で筋が固まっているなどと聞いた事は無いでしょうか?

例えば、パソコンや事務仕事など一日中、こんを詰めて仕事をすると首や腰が固まってしまった様な感じを受けると思います。
筋が緊張状態を続け、弛緩(緩む事)をしてくれません。
この様な状態を過緊張と言います。

他にも、凄いプレッシャー(試合近く、大きなプレッシャーの仕事)などで出ることもあります。
競技者は意外と試合近くにぎっくり腰など意外と致命的な故障をすることがありますが、こういったところにも実は原因があったりします。

緊張=交感神経=筋が硬くなる。
筋が硬くなる=パフォーマンスの低下に繋がります。

頑張り過ぎる。緊張し過ぎる。これは交感神経を優位にしてしまいます。
結果的に、筋が修復しない。疲労回復がなされない。伸びるはずの筋肉が緩まない。
そして自分のイメージと体が上手くリンクせずに、ぎっくりや肉離れが起きやすくなります。
時には、リッラクスする事も、自分を高める為の技術です。

ここで一度、鍼灸の特性をご紹介しておきます。 

鍼灸が自律神経にもたらす作用

トリガーポイントなどスポーツ鍼灸を受けた方は体感済みだと思いますが、ズーンと言う響きを感じその後筋が柔らかくなるのを感じたことがあると思います。

これは、筋膜にあるポリモーダル受容器を刺激することで、筋が副交感神経優位になり筋が緩む現象が起きている信号です。

マッサージと鍼灸の大きな違いの一つが、この筋膜の受容器によって筋が弛緩(緩む)作用が有ると言う点です。
マッサージにはこの点は有りません。
ここが鍼灸の強みです。

何回か治療を受けた事のある人は、鍼灸治療中に睡魔に襲われて寝てしまいます。
当院でもかなり多くの人(80%ぐらいでしょうか?)が治療中は寝てしまいます。
それは、体の冷えた場所、硬い筋肉、を修復改善する為に、副交感神経が最大限に引き出されている為です。
治療中よく言うのですが、「眠った方が良く治りますよ」と言うのはこの為です。

「気」の治療を専門に置く鍼灸の先生の所で勉強すると、気が流れているのだから「静かに!」とスタッフや患者さんに言います。この理由を科学的に言うと少しですがこう言った屁理屈を付けられます。
副交感神経を引き出す為の物とも考えられます。
 

日々の生活スタイルが反映される自律神経

先日の飲み会での会話の中で、運動生理学の水分補給についての話になりました。

現在運動生理学では、水分補給をこまめにするように言われている。
一昔前まで、真逆でした。
少年野球では、コーチや監督に隠れ、水をこっそり飲んだ記憶があります。

今は、水分補給をする事が当たり前です。
選手を鍛える為には、厳しいトレーニングと水分補給はセットです。

しかし、自律神経を勉強していくと、自律神経は、過酷な状況下で養われ。
楽な生活の中で弱っていく。

例えば、体温調節中枢。外気温に関係なく人体は体温を平温に保ちます。
自然界で生きている動物も、真夏であろうとも、真冬であろうとも、平熱を保ちます。

これを、日本の現代社会に当てはめます。
夏はエアコン。(冷やすことは、意外と徐々に体をおかしくしています)
冬は暖房(実は暖房は有りです)

例えば、うちの奥さんと子供。

実は鍼灸部屋以外にわが家にはエアコンが有りません。
奥さんが仕事を辞め、夏の家で暮らすようになってから、エアコンの無い生活を相当苦しがっていました。
しかし、自律神経が元に戻り、数年たつと、電車やデパートなどの冷気は異常なほど冷えている事に気が付けるようになります。

現代の日本社会の夏は、快適に過ごす事が普通です。
それを、産まれてからずっと続けて来た子達と、それが無い時代に育った子。
どちらが、丈夫な子になるでしょうか?

自律神経の体温調節の機能が、外気温35度でも平熱を保てるようとしている環境の子と、外気温は常に夏冬関係なく常温を保たれて育った子とどちらが丈夫でしょうか?

自律神経は、無意識の中で働くので、植物神経とも言われています。
結果は、温室育ちの植物は弱く。自然の中で育った植物の方が根を深く張りめぐらせ丈夫になります。
この様に、自律神経は植物を育てるが如く鍛える事が出来ます。

こういった話をふまえて考えてみて下さい。

その席に居合わせた、元自衛隊のレンジャー部隊の方を例えてお話しました。

彼らは、必要最低限の装備や食材(缶詰)で山に置き去りにされ、数週間、生き抜く力を鍛えます。
食うや食わずの生活の中で、寒さに凍え、眠り、まさに心身ともに鍛えます。

この彼らと、常にバランスの取れた食材を適度に摂り、適度な睡眠、適温で生活をして、競技をしている人間とどちらが強くなるでしょうか?

この両者に500mlのペットボトルを1本渡し、1日運動し続けてもらったらどうなるでしょうか?
おそらく、元レンジャーの方がパフォーマンスは保たれると思います。

ある教授が自律神経失調症を治すには、サバイバル暮らしを経験されば良いと言った先生がいました。
極端であり、冬季はススメませんが、理屈は何となくわかりませんか?

日の光、外気温に合わせて生活をして、食うや食わずで生活をする。
快適で便利である程に、自律神経の仕事は無くなります。
不快や不便の中で自律神経は活動しています。

快適とは、外気温の変化無い生活。
菌やウイルスと戦う事の無い生活。(お薬に頼る人)
少ない食事から栄養を確保しようとする能力。(常に食べ過ぎていたり、サプリメントを使う人)

そんな生活は、乞食(こじき)同然でイヤと言う人もいると思いますが、自律神経失調症は文明社会に多く、発展途上国や貧困国には少ない。
それは、日常的に自律神経や防衛機構がフル活動をしているからです。
虫に食われても、干ばつでも、踏まれても花を咲かせる雑草の様に強くなる。

良く西洋医学では、自律神経は原因不明と言われますが、原因は、人体の一部に起きているのではなく、快適な生活環境が原因だからかもしれません。
 

おまけ程度に

病院等で自律神経失調症と言われる病態とは、少し離して考えて下さい。
現代の日本で、自律神経が原住民の様にしっかりした人はいません。
みんな、多少なりとも、正常では有りません。
昼夜を問わず働き、運動もしないで、適温の室内にこもり仕事をしているのですから・・・。

そして、病院で言う自律神経失調症は、ある定義に基づいて診断してますので、実際にその人に適した診断かは…
 

自律神経と「冷え」

最近、冷え性が改善された方が徐々に増えてきて、少しうれしく思っています。
以前にも話しました?かも知れませんが、西洋医学に欠けている大きな盲点。

それが、「冷え」です。

この「冷え」を無視して、色々な薬でその場しのぎの対処療法薬を繰り返す人も少なく有りません。
自律神経失調症・うつ・生理痛・肩コリ・頭痛・眼精疲労など冷え性を改善する事で、症状は軽くなります。

まず、原因が解らなくては、対処の方法もわからないので、今回はまずどんな方が冷え症になるのかから理解を頂きたいと思います。

おもな原因は、ストレス・電気関係・食生活・体脂肪率の低さなどなどです。

ストレスの場合、簡単な所で言うと、受験や身の危険を感じるような出来事の際。
手足は冷えているのに、手足に汗をかいた事は無いでしょうか?
医学的に言えば過緊張状態とでも言う事になると思います。

次に、電気関係といってもこれも目から入って、脳に影響を与えているとされる物です。
パソコン・テレビ・ゲーム・ケータイ等です。
こう言う時に起きるのは、熱のバランスが脳に集中し一番遠い下肢の末梢は冷えてきます。

次に食生活です。
自然食、漢方などは、比較的メジャーになってきたのでご存知の方も多いかもしれませんが、冷えを生む物は、白い食材や南の食材と言われる物です。
パンや乳製品、白米、甘い物・コーヒーなどなどです。

そして、最後に体脂肪率です。
これも、一般的な数値を超えて低くなると冷えの原因になってしまいます。
例えて言えば、ランナーの上級者やエアロビの上級者は、冷え性の方も少なく有りません。
その他にも、専門的な見解も有りますが、多い患者さんはこういった方になります。
 

まとめ

自律神経とは関係ない話もありますが、自律神経1つで様々な状態を作ることができます。
それは良い状態にも悪い状態にもです。

自律神経というものが少しづつ認識されるようになった今ですが、一体どれだけの方が上手に自律神経を育んでいるのか、正直微妙な所だと思います。分かっていても、便利に慣れる事でダメになってしまうのが自律神経です。

よく理解して頂いて、上手く管理出来る部分はして頂いて、より良い日々を送って頂ければと思います。

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