自律神経失調症について

自律神経失調症の治療論

このページでは自律神経失調症の考え方や治療効果について記載しています。
自律神経失調症というのは自律神経が乱れ(失調)、器質的(物質的)な変化ではなく、機能的な変化によって、様々な症状、不定主訴が起こる症状です。機能的な変化というのは周りに理解されづらい部分が多い為、一人で苦しむことが多い症状だといえます。
また病院等でも、原因不明とされる事が多く、その場しのぎの薬などによる対症療法で済まされる事がほとんどかと思われます。これで治るのかと言われれば甚だ疑問ではあるのですが、現実やれる事というのが薬を出すという事しかないのだと思います。
もう少し身体全体や、生活面などから診る事が出来れば、薬を利用せずに改善させる事が出来るのですが、薬を処方されて素直に服用する事で、ドロ沼にハマってしまいます。
当院でもそういった方々を数多く診てきていますので、その厄介さはよく解っているつもりです。

よく見られる症状として、頭痛、めまい、食欲不振、多汗、不眠症、頚肩のコリ、腹痛や便秘といった胃腸症状、手足の冷え、倦怠感、イライラ、微熱、鬱様症状などの精神症状などなど他に挙げれば切りがないぐらいなのですが、自律神経の性質上全身に波及するものですので、どれもこれも自律神経の機能が狂えば容易に起こる症状です。

他の症状でも同様に言えることなのですが、特に自律神経失調症の場合は日常生活の影響が大きいものになります。他の症状であれば鍼灸治療のみで、ある程度の改善は見込めますが、この症状の場合は優先事項として日常生活の改善をメインとし、鍼灸はそのサポートと考えて頂くのが自然な治療になるかと思います。
その為、治療期間も少し長めにかかるイメージをして頂き、ご自身でどうにか「治す」という覚悟を持ってから、治療にあたられる事をオススメします。
リアルな考えで治すとなるとこういう事になると思います。大変な様に思えるかもしれませんが、それだけ基礎的な部分が乱れているという事を意識して頂ければと思います。
逆を言えば日常生活の改善だけでもは十分に効果は見込めますので、この機にまずは日常生活から、というのも一つやり方かもしれません。

家族が起因となることもある

「毒親」という言葉を聞いた事がありますか?子供を病気にしてしまう親を指すのですが、イメージとしては過干渉、支配欲の強い親といった感じでしょうか。細かな事まで干渉してきて、自分の考えが正しく、子供の感覚や考えを汲み取らないというような親です。

典型例として
とある断薬専門の心療内科のドクターからの抜粋。

① 彼らは必ず子供に薬を飲ませるが自分が薬を飲む事はない。(精神薬など典型的)
② 彼らは必ず自分たちの育て方は悪く無かったと言い張る(科学論に身をゆだねる)
③ 彼らは必ず自分たちの思いつきで薬を増やしたり減らしたりする(当事者の意見は無視)
④ 彼らは必ず子供より先に自分たちの主張を述べる(外来などでは典型的にみられる)
⑤ 彼らは必ず自分たちの子供に発達障害と言う病名をつける(ほかの病名であっても同じ)
⑥ 彼らは必ず起こった事象にしか興味を示さない(原因について一切考察をしない)

ここまでいくと中々のレベルですが、実際これに近い親というのは一定数いるように思えます。
このタイプの方というのは権力主義な方が多く、権威のあるものや多数派の意見を優先して取り入れる為、例えその考えが悪化する方向へ向かうとしても、頑なにその考えを変える事はありません。
そのような考えの元、育てられた子供というのは、なんかしらの病名をつけられ、薬漬けにされ、それでもよくならない事で親が被害者面をしたりします。
子供がいくらそんな泥沼から脱そうと色々考えても、自身(親)の信じる考えや理論から逸れていればそれは間違いであり、認める事が出来ません。子供を信じていないのかどうかは分かりませんが、それ以上に自分の考えが一番である以上、それ以外はあり得ないんだと思います。
今迄色々な患者さんを診て来ましたが、毒親さんが東洋医学的な鍼灸を受ける事は、ほとんどありません。

上記の特徴に当てはめるのであれば、我々は権威もなく多数派でもありません。しかしWHOが自律神経の治療効果を認めています。本当に良い物だけが権威を持てる訳でもなく、本当に良い物や考えがマジョリティ(多数派)とは限りません。むしろ流行するものに中身がない事などよくある事です。

「馬鹿相手が一番儲かる。」商売人の名言です。
大多数が集まる流行るものに中身がない事もよくある話かと思います。
毒親さんとの会話の特徴は「普通」や「常識」と言うワードを多用しますが、その実、きちんとした理由がない方が、 「普通」や「常識」と言うワードを多用します 。
なぜ減らない薬を飲ませ続けるのでしょうか?
なぜ症状が増え。薬が増えるのに、続けるのでしょうか?
それは、治るのでしょうか?
毒親であれば、治る事実。それは二の次です。
早い。安い簡単便利。みんながそこに通っている。
改善する事実よりも、病院、整骨院、無資格整体やマッサージを当然として選ぶのでは無いでしょうか?

まずは自律神経を知る

何をするにも、この症状の大本の事を知って頂かなければ始まりませんので、まずは自律神経失調症の自律神経の部分に触れていきます。ここを理解するかしないかでは症状の考え方がまるで違ってきます。
自律神経というのは、交感神経と副交感神経の2つに分類されていて、交感神経というのは主に活動時に働く神経で、興奮や緊張を催す神経です。
副交感神経というのは主に休息時に働く神経で、消化・吸収・排泄や身体の修復を行う神経と言われています。

どちらも必要でどちらかに比重が偏り過ぎても良くなく、必要な場面で丁度良く働いてくれるのがベストな状態といえます。こういった働きを持つ自律神経がどこから発生し、どこへ伸びていってるか理解することで、どういった症状が起こりうるのかをまず理解できるかと思います。

自律神経

上の図が自律神経がどこへ分布しているのか描かれたものなのですが、簡潔に言えばほぼ全部の臓器、部位に分布していると言えます。中枢神経と呼ばれる脳、延髄、脊髄から伸び、臓器などの部位へ伸び、働きをコントロールしています。
仕事をしている時、何かと対峙している時など、多少の緊張感が必要な場合は交感神経が働き、食後休みや就寝前などのリラックスした時間では、副交感神経が働きます。その際に実際どういった反応をするのかは下の図を参考にしてください。

自律神経の働き

この様な反応が起こるのですが、交感神経は何かと戦っている時をイメージすると解りやすいです。
相手をシッカリ目で捉える為に瞳孔は開き、身体に酸素をよりスピーディに送る為に気管は開き、咄嗟に反応できるように各筋肉へ血液を十分に送る為に心臓の拍動は速くなり、血管が縮むのは筋肉へ早く血液を届ける為であり、少しでも身体を守れるように固くしようと皮膚は縮み、毛は逆立ちます。緊張感があれば汗はジトーッとかきますし、食べ物の消化や排泄をしている場合ではありません。
この様な反応をするのが交感神経のイメージです。副交感神経はこれと逆と思えば大丈夫です。交感神経というのは基本的に臓器への負担を増やすものが多く、一時的な身体機能は上がりますが疲れやすい身体を作っているともいえます。

自律神経失調症というのは、こういった交感神経や副交感神経がどちらかに偏って働くことで、その作用に順じた症状が次々に引き起こされます。
そして現代で圧倒的に多いのが、交感神経が強くなることで起こる自律神経失調症です。身体の興奮状態、緊張状態というのが上手く解除できないという方が多くなっています。それによって、眠れない状態から様々な症状に発展してしまいます。
何故こんなことになってしまうのかですが、単純に交感神経のスイッチを入れてしまうものが世の中に溢れているからです。一番身近な物で言えば蛍光灯などの電気です。人間含め、動物には一日の中で交感神経が優位になる時間帯、副交感神経が優位になる時間帯があります。
交感神経は朝、昼などの外が明るく活動をする様な時間帯に優位になり易く、副交感神経は夜などの暗く、主に休息をする時間帯に優位になり易いです。
この様な自然の摂理に順じた身体の反応があるのですが、蛍光灯などの明るい光刺激を夜に感じると、身体は勘違いを起こし、昼の活動する時間帯の状態になります。つまり休息するべき時間帯に身体は活動的になり、緊張をしてしまうということなんです。パソコンやスマートフォンなども同様に明るい画面を近距離で見ていれば、眼から入った光刺激によってあっという間に緊張してしまいます。

緊張した状態、交感神経が優位になった状態というのは、先にもいったように臓器に負担を掛けやすい状態とも言えますので、休むこともままならないし、飲食物の消化なども満足に行えません。これが日常的になれば身体は悪い意味で学習し、この時間帯も交感神経を優位にする。というのを勝手にし始めます。
そうなれば一日中緊張が続き、自然と疲労感も溜まり、倦怠感から始まり、お腹の中に飲食物が残っている時間が長い分、食欲不振なども起こります。心拍数が日頃から高く、汗もかきやすいスイッチが入っていますので、多汗といった周りより汗をかき易い状態になったり、変に逆上せて微熱気味であったりします。

自律神経失調症の機序というのはこういったものが基本になります。
薬ならばこれらの症状に対してそれぞれの効用を持ったもの処方します。
しかし、緊張を解いたり、自律神経の偏りを戻す訳ではありません。緊張を解くというよりは筋肉を弛緩させる事を考えたり、自律神経の偏りによって起こる症状をひたすら誤魔化し続けるのが薬物療法になります。

当院での治療、はりやお灸について

では鍼灸で何ができるのかですが、絶対的な効果としてリラックス効果があります。これは自律神経失調症を改善させるには必須ともいえるもので、身体の緊張を解き、リラックスした状態を覚えさせることで、本来の在るべき状態へ近づけることができます。
何故リラックス効果があるのかと言われると説明が難しいのですが、その一つに、はりによる刺激というのは侵害刺激と呼ばれ、身体は侵害刺激を受けた所を修復しようと血流を増大させます。それが副交感神経が優位になった状態と近い事があると思います。
緊張して硬い部分というのは基本的に血管が収縮し、血流が滞っている為、血流が増大するというのは血管が拡張され、そこに滞っていた血液を流して、本来の状態に戻します。つまりこれによって硬さと一緒に緊張が解け、全身に施せばリラックス効果を得られるということになります。
あとは脳から発せられる、セロトニンやドーパミンといった神経伝達物質などが関わってくるとも言われています。

一度身体が緩めば、溜まっている物が排出され、様々な症状が連鎖的に良くなっていく傾向にあります。しかし注意点として、時折身体に溜まった物が出る時に、一時的にドッと疲労感やその他の症状が出る事がありますので、それだけは予めご了承下さい。
不安になるかもしれませんが、好転反応といい、身体が良い方向へ向かう時の反応ですので、抑え込まずに一度出し切って頂くようお願いしております。皆が皆、出る反応という訳ではありませんので、万が一出た場合は、慌てずに対処して頂ければと思います。不安な時はご連絡頂ければ出ている症状ついて対応させて頂きます。

更に身体の緊張感へのアプローチだけでなく、緊張を与えている頭自体にも施術を行います。身体だけでも問題が無さそうであれば他の必要な所へアプローチを行いますが、頭の状態が悪い場合は頭蓋調整というものを行います。
頭蓋から緩める事が出来れば緊張の伝達が緩和され、はりやお灸の効果と相まって身体を心地良い状態にする事ができます。

ただ、基本的には緩み始めてしまえば徐々に調子は良くなってきますが、大切な事として、折角身体の緊張が解けたとしても、また緊張することを身体に覚えさせては意味がありせん。
はりやお灸はあくまでキッカケとして考えて頂き、休むべき時に休む。夜更かしをしない。できるだけ太陽の動きに順じた行動をする。本来の身体に負担の少ない生活リズムを作る事を意識して、しばらく意識して生活の基礎を作って頂かなければいけません。
これだけはまずご理解の程宜しくお願い致します。

まずは首や肩の怠さ、固さを取るだけで自律神経失調症でよく見られる頭痛やめまい、イライラムカムカといったものにも効果がありますので、肩こりを強く感じる方などは頚椎症胃腸症状が気になる方はそちらについてもお読み頂ければ、辛い症状の改善に役立つかと思います。

自律神経失調症について(おまけ)

最後に自分で自律神経をコントロールする方法をお伝えしておきます。
西洋医学では自律神経はコントロール出来ない物として教えられますが、そんなことはございません。ちゃんとコントロールする方法はあります。
難しい事ではなく、ただの呼吸です。呼吸を出来るだけゆっくり行うことで、身体というのは副交感神経が働いているものと勘違いし、スイッチをそちらへ切り替えていきます。
まずはこれでどれだけ改善するかを試してみるのもありだと思います。

投稿日:2019年4月2日 更新日:

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